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大分の放火事件をアンガーマネジメント的に検証

2015年07月14日

最近のニュースをアンガーマネジメント的に検証します。

7月6日午前0時頃、大分県杵築市で住宅一棟が全焼し、この家の子ども4人とみられる遺体が見つかった火事で、この家に住む海上自衛官の父親が放火の疑いで逮捕されました。
大手メディアは、母親が「ささいな言い争いのあとに夫が火をつけた」と警察に供述したことや、事故直後に容疑者が「俺が悪かった」と発言したことなどから、事件の動機は「夫婦間のトラブル」ではないかと報じています。
子供4人の命が失われたこの事件を、アンガーマネジメントの観点より検証したいと思います。

◆妻に腹を立て火をつけた

夫は、広島で単身赴任をしていました。週末は自宅に帰り、日曜の夜に広島に戻る生活をしていました。ところが赴任先に戻る夜、妻が自分を見送らなかったことに腹を立て、油を室内にまき、火をつけました。

どうして夫はこのようなことをしたのでしょうか?
このときの夫の心の状態はどうなっていたのでしょうか?

◆心のコップに入っていたもの

怒りは突然降って湧いてくるものではありません。ひとりひとりが持つ「心のコップ」に、最初に感じる感情「第一次感情」が水のように入っていき、溢れることで生まれます。
入っていたのは、ネガティブな感情(辛い・悲しい・苦しい・疲れたなど)で、怒りは、次に感じる「第二次感情」なのです。

夫は「妻にかまってもらえなかった」と供述しているとおり、日常から妻に対するネガティブな感情がコップに入っていたのでしょう。
そのため、妻が見送りをしなかったことで、夫の心のコップに入っていたネガティブな感情の水が溢れ、怒りを爆発させてしまったのです。

◆怒りの感情がもつ性質

怒りの感情には、身近な対象ほど強くなる性質があります。身近な対象としては、家族、職場の仲間、旧知の友人などがあげられます。
今回の事件のように、夫婦間のささいな言い争いが大きな事件に発展してしまうことはときどき耳にしますが、それは怒りが身近な対象ほど強くなる性質が大きくかかわっているのです。

また、多数のメディアで、単身赴任先でパワハラにあっていたようだと報道していました。
怒りの感情は、高いところから低いところへ流れる性質もあります。上司から部下へ流れた怒りの感情が、身近な対象である妻へと流れたのでしょう。

怒りの感情は、伝染しやすい性質ももっていますので、どんどん怒りが周囲に広がっていった可能性があります。

◆悲惨な事件を防ぐには

怒りの感情は、誰でももっている感情ですが、扱い方を間違えると大変なことになってしまいます。

もし、夫が自分の心のコップの中を覗き込み、どんな第一次感情が入っているのかを客観的に見ることが出来ていたら、放火という手段は取らなかったでしょう。

また、上司から部下へ、夫から妻へと流れていた怒りの感情をどこかで誰かが断ち切ることが出来ていたら、結果は変わっていたでしょう。

アンガーマネジメントをご存知だったら、4人の子供は亡くならなかったのかもしれないと考えてしまうニュースでした。

(文:相原あすか/編集:川嵜昌子