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ゲームで“新しい体験”を届ける、エンターテインメント企業

コロナ以降、社内コミュニケーションが変化した状況に、ゲーム制作の現場は、どのように向き合ったのでしょうか。

2025年度「アンガーマネジメント経営賞」を受賞した株式会社コロプラは、役職者向けにアンガーマネジメント研修を導入し、後に全社員に対象を広げて実施しました。

「マネジメント」や「ゲーム開発におけるコミュニケーション」の視点や、「クリエイターが創造性を発揮できる環境作り」について、経営企画本部 人事戦略部 部長の北村主税(きたむらちから)氏にお話を聞きました。

——アンガーマネジメント経営賞受賞、おめでとうございます。あらためて御社の事業について、教えていただけますでしょうか。

当社は、GPSを活用した「位置ゲー(位置情報ゲーム)」の先駆けである『コロニーな生活』から事業をスタートさせました。以来、「最新のテクノロジーと独創的なアイデアで、"新しい体験"を届ける」ことを追求し続けています。特に、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や、指一本で手軽にアクションRPGを楽しめる『白猫プロジェクト NEW WORLD'S』は、多くの方に知られている作品です。

またスクウェア・エニックス様と共に、位置情報RPG『ドラゴンクエストウォーク』も共同開発しています。2025年は、AIを活用した生成ゲーム『神魔狩りのツクヨミ』もリリースしました。こちらはスマートフォン以外にPCでも配信しています。

このようなエンターテインメント事業と、あとは投資育成事業もやっていまして、大きく2つが当社の事業になります。

「マネジメント」と「ゲーム開発におけるコミュニケーション」の視点で、アンガーマネジメントを導入

——アンガーマネジメント研修はどのような経緯で導入されたのでしょうか。現場の課題意識と合わせて教えていただけますか?

最初は2017年に、アンガーマネジメント研修を役職者向けに実施しました。それ以降は実施できていなかったんですが、コロナ以降、社内のコミュニケーションのあり方が変わったのが大きかったです。

ゲーム開発においては、互いに多様なアイデアや意見を出し合い、より良い作品を創り上げていくため、円滑なコミュニケーションが不可欠です。コロナ禍以降、社内コミュニケーションのあり方が変化したことで、感情のコントロールが難しい状況が見られるようになりました。発言する側も、受け取る側も、意図が十分に伝わらない、あるいは萎縮して議論が深まらないといった課題が生じていたため、改めて感情のコントロールや怒りについて学ぶアンガーマネジメントの必要性を痛感しました。

役職者からも、メンバーへの指導やコミュニケーションの部分で適切な指導をどうしたらいいのか、感情的になって一方的に言ってしまったというような相談も一定数ありました。そのため「マネジメント」と「ゲーム開発におけるコミュニケーション」という切り口から、まずは役職者へのアンガーマネジメント研修を実施しました。それが2024年ですね。

——コロナ以降の社内コミュニケーションのあり方が変化したのは、やっぱりリモートワークの影響が大きいのでしょうか。

はい。直近では、オフィスへの出社勤務がベースになっていますが、やはりコロナ以降、対面での会話量が減っている印象はあります。お互いの関係値がない状態でコミュニケーションすると認識のズレが生じたり、お互いに意図しない伝わり方をしたりするので、より丁寧なコミュニケーションが必要だと思っています。

社長も「すごく良い取り組み」役職者をきっかけに全社員が受講

——アンガーマネジメント研修は、最初は役職者向けに実施して、その後、全社員を対象に広げられました。その理由は?

代表の宮本も役職者向けアンガーマネジメント研修に参加し、「非常に良い取り組みなので、全社員向けにも実施すべきではないか」と提案がありました。私たちもその意義を強く感じていたため、全社員への導入を改めて検討し、実施に至りました。

——2024年3月に役職者、5月に役員、2024年7月〜12月に全社員が受講されました。受講者からはどのような感想がありましたか?

実際に寄せられた感想は、「知識としては知っていたが、あらためて話すことによって自分のものにできた」、「グループディスカッションがあると、お互いの気づきになって良い学びになった」、「理想のコミュニケーションを考える良い機会になった」などですね。「管理職として共通の認識ができたのは良かった」という意見もありました。

他にも「仕事だけではなく、家族や友人など他のコミュニティでのコミュニケーションでも、ぜひ使っていきたい」という声もありました。

——全社員が受講したことで、アンガーマネジメントが社内の共通認識として広がったことと思います。組織にはどのような変化が生まれたと感じますか?

本当に、共通理解ができたのはすごく良かったと思います。相手の「べき」を考えたり、自分の「べき」にも気づけて、一方的に自分が言ってしまった、もしくは言われた時も、「相手の『べき』って何だろう?」といったことを考えるきっかけになっていると思います。そういう意味では、コミュニケーションの深さが一つ増して、建設的な議論ができるようになったのではないかと思います。

ゲーム制作の現場、みんなで議論しながら「面白い」を作っていく

——北村さんもゲーム制作の現場にいらしたそうですが、ゲーム制作において建設的なコミュニケーションをする上で、アンガーマネジメントの導入は、どんな意義があると思いますか?

ゲームというのは、「面白さ」という人の主観に依った感情にアプローチしていくエンタメです。その「面白さ」は、Aさん、Bさん、Cさん......みんな違うんですけど、ゲームは「みんなの面白い」を作っていくものなので、本当にいろんな方面からの意見やアイデアを出し合って、議論を交わしながらプロダクトを作っていく。他の製品にはないものづくりの仕方をしていると思います。

そういう意味でも、コミュニケーション量や議論が重要だと思うので、アンガーマネジメントを導入したことによって、コミュニケーションの深さが生まれて、言わずに留めていたことを、もう少し相手に配慮した言い方ができるようになり、よりプロダクト作りにとって良い議論の場が提供できるようになったのではないかと思います。

——研修の担当者によると、御社の方はエンジニアも含め、とても議論が活発でディスカッションも大いに盛り上がったそうです。

やはり、ものづくりの現場というのが大きいと思います。弊社はゲームのアイデアを考える時に、企画を考えるプランナーはいますが、「エンジニア的には、こういう視点でやった方が面白い」とか「いちユーザーとしてはこっちの方が面白いんじゃない?」と、その場で意見を出し合いながらものづくりをするので、エンジニアも、デザイナーも、プランナーも、サウンド職も、みんながお互いにいいものを作ろうとフラットに意見を出し合うカルチャーがあります。

またコロナ禍以降、仕事で関わる人以外のコミュニケーションが減っていたので、研修に参加することによって、久しぶりに会う人に「最近何してるの?」とか、そういうコミュニケーションのきっかけになったようで副次的に良かったなと思います。

エンタメは“人”が生み出す。クリエイターが創造性を発揮できる環境を

——御社では、「健康経営優良法人」「スポーツエールカンパニー」「くるみんプラス」など複数の認定を取得され、男性の育児休業支援(取得率72%、平均148日)も推進されています。エンターテインメント企業として、どのような環境を創ろうとしているのでしょうか。

継続的なエンターテインメント体験は、人の手によってのみ生み出されると考えています。PCや電子データは用いますが、その根幹にあるのは人のアイデアであり、そこから生まれるアートやプログラムです。人が生み出すものである以上、クリエイターが良い開発を行い、質の高いサービスを継続的に提供できる環境を整えることが、経営上も極めて重要であると認識しています。

よく社内では「クリエイターファースト」という言葉を使いますが、クリエイターが自身の能力や情熱、創造性を思いっきり発揮して、より良い価値を提供できる環境を整えることが、会社として一番取り組んでることです。

安心して、中長期的に高パフォーマンスな創造性を発揮してもらうには、健康も大切ですし、家庭の理解も大切だと考えています。クリエイターが思いっきり仕事ができる環境を、人事やバックオフィスも含めて連携して提供していこうと思っています。

——そういった取り組みは、中途や新卒の採用の面でも効果を感じていますか?

そこは感じますね。やっぱり安心して働けるというのは、エンタメ業界では重要なポイントなのかなと思います。ゲーム業界は人材の流動性が高く、魅力ある企業には人は集まってきます。良いクリエイターを集める意味でも、環境作りは重要だと思います。

——アンガーマネジメントの視点からも、今後の取り組みについて何かあればお聞かせください。

引き続き、ゲームやエンタメ作りにおいて創造性を思いっきり発揮するという意味でも、アンガーマネジメントをはじめとするコミュニケーションのスキルは、従業員に身につけていってほしいなと思います。

アンガーマネジメントみたいに、後から獲得できる知識は身につけておいた方が絶対に価値創造には有利です。従業員にとって武器となるスキルは、人事からもちゃんと提供の場を設けていきたいと考えています。

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