コラム
コラム - アンガーマネジメント
アンガーマネジメントとリーダーの資質
◆米国ナショナルアンガーマネジメントのカンファレンスに参加しました
日本アンガーマネジメント協会は、アメリカにあるナショナルアンガーマネジメント協会(NAMA)の日本支部です。
先週9月26日・27日に、このNAMAのカンファレンスがアメリカ・ロスアンゼルスで行われ、弊会からも代表理事・理事をはじめ14名が参加しました。2日間、アメリカやカナダの様々な分野でアンガーマネジメントを活用して活躍されている方々の発表を聞くことができ、様々な情報収集ができました。
「おなかがすいたときにイライラするのは当たり前?」という、朝日デジタルウェブマガジン&Mの記事(弊会代表理事 安藤俊介の執筆)は、これらの発表のひとつをもとに書かれたものです。とても面白い内容ですので、ぜひ読んでみてください。
◆せっかくのリーダー資質、間違った使い方をしないで
ところで、皆さんは、学校や職場でのいじめやパワーハラスメントに、「怒り」が関係していることをご存知でしょうか。上述のNAMAカンファレンスの別の発表で、ゴードン・マイヤーズ氏が「Bullies Lead and Leaders Bully」という題目で、興味深い話をしていました。
人を傷つけることをする人=いわゆるいじめっ子やパワハラ上司には、相手には全く関係ない別の時期・場所において、怒り・ストレス・トラウマを抱えており、その発散の方法として「相手を傷つけるようなことをすることで自分が優位に立つ」という方法を選んでしまうことがあるのだそうです。
いじめっ子やパワハラ上司は、裏を返すと、それだけ集団の中で影響力をもたらす素質を持ち合わせている、とも言えます。正しく使えば立派なリーダーになれる資質ともなるものに恵まれているにもかかわらず、他者を苦しめる低次元の行動を選択してしまうのは、自分の感情や行動のコントロール方法が非常に未熟だからです。
力でもって無理矢理に人を従わせるのではなく、心から人に慕われるリーダーシップを発揮するためには、正しい感情・行動のコントロールが不可欠です。マイヤーズ氏は、これを「Push」(力で押しこめる)のではなく「Pull」(相手から引き出す)型のリーダーシップへの転換の必要性として説いていました。
最近、弊会には、子どもや教員向けのアンガーマネジメント研修のご要望や、人事・労務関連部署からのアンガーマネジメント講師派遣のご依頼が増えています。
正しいリーダーを育てる方法のひとつとして、アンガーマネジメントを取り入れてみませんか。
リーダーの行動とアンガーマネジメントの具体的な活用方法については、先週の本コラム「アンガーマネジメントと上司の器」も参考にしてください。
文:大山葉奈(事務局、アンガーマネジメントシニアファシリテーター)