
大浦 裕之おおうら ひろゆき
- 協会認定資格
- AMFTアンガーマネジメントファシリテーター
- AMTアンガーマネジメントトレーナー
- AMHAアンガーマネジメントハラスメント防止アドバイザー
- 職業・資格など
- 日本呼吸器外科学会 専門医・評議員
- 日本肺癌学会 評議員
- 日本臨床倫理学会 臨床倫理アドバイザー
- 東北大学医学部 臨床教授(呼吸器外科)
- The Best Doctors in Japan (2020-2021)
- (米国Best Doctors社、Boston、Massachusetts)
プロフィール
岩手県盛岡市在住。東北大学医学部卒。初期研修を修了後に大学病院に戻り、医学博士号を取得。その後、岩手県立中央病院に呼吸器外科医として赴任。専門である肺癌診療に従事する傍ら、ハラスメント防止対策の責任者として日々活動しています。2019年にアンガーマネジメントに出会い、(社)日本アンガーマネジメント協会のアンガーマネジメントファシリテーター、アンガーマネジメントトレーナー、ハラスメント防止アドバイザーの認定資格を取得。
現在、全国各地の医療機関、医学関連学会、大学医学部・看護学部、医師会・歯科医師会、看護協会、薬剤師会、指導医講習会などにおいて、医療現場のハラスメント防止対策に関する講演・研修を実施しています。また、2022年より日経メディカルオンラインにて連載記事を開始し、全国の医療従事者向けに、ハラスメント防止対策・アンガーマネジメントに関する情報を発信中です。ぜひご覧ください。
ファシリテーターからのメッセージ
多忙な医療現場では、日々高い緊張を強いられるうえに、多職種が共存する組織の特殊性が加わり、怒りを契機としたパワーハラスメント(パワハラ)が発生しやすい環境にあります。パワハラは人権侵害であるだけでなく、被害を受けたスタッフに精神的ストレスを与え、意欲の低下や注意力の散漫を招き、業務上のエラーを引き起こします。さらに、パワハラが職場の心理的安全性を低下させることで、コミュニケーション不全を招き、結果として医療事故のリスクを高めることが知られています。また、看護職員の離職を促進し、人手不足を引き起こす要因ともなり得ます。
日本の医療機関では特に、医師による過度な叱責などのパワハラが多く発生しています。これは、被害者のメンタルヘルスや職場環境を悪化させるだけでなく、患者安全にも深刻な影響を及ぼします。さらに、パワハラ被害者による安全配慮義務違反を理由とした損害賠償請求、レピュテーションリスクによる患者離れ、人材流出に伴う退職者の増加などが病院経営に対する悪影響として懸念されます。
これらの課題は、全国の医療機関に共通する深刻な問題です。そして、パワハラの主因の一つは怒りの感情です。このことから、アンガーマネジメントはパワハラ対策として極めて有効な手法の一つであると考えます。病院組織にアンガーマネジメントを浸透させることで、心理的安全性が高い、快適な職場環境の実現が可能になると確信しています。