アンガーマネジメントプログラムのご案内
企業内におけるアンガーマネジメント研修に関するご案内です。
アンガーマネジメントに関する内容を、企業研修に導入を検討されている方向けに、導入の流れや、実施内容、また現在実施されている研修へのカスタマイズなど、アンガーマネジメントの研修プログラムをご紹介します。
企業研修事例 - 港区教育委員会

港区教育委員会では、体罰防止の取り組みをより実効性のあるものにするため、教職員が自らの感情を理解し、適切にコントロールする実践的な力を身につけることを目的に、「教員のためのアンガーマネジメント研修」を継続的に実施しています。
・教員のためのアンガーマネジメント研修
・感情に任せない指導への意識向上
受講者からは、「自分の感情の動きを客観的に捉えたい」「指導の際に一呼吸置いて考える習慣をつけたい」といった声が寄せられました。
・児童生徒を尊重した指導と信頼関係の構築
教員がアンガーマネジメントを身につけることで、子どもを尊重した落ち着いた指導や教師と児童生徒との信頼関係の構築につながっています。
・教職員の関わりや学校運営にも波及
教職員同士の声かけ、相手の立場に立つ姿勢が生まれ、不適切な指導やハラスメントの防止にもつながっています。
・単発で終わらない継続的な仕組みづくり
初年度は全教員を対象に実施し、その後も初任者や転入教員を中心に毎年継続。延べ約1,500人が受講し、学校現場にアンガーマネジメントを根づかせてきました。
INDEX
港区教育委員会では、「誰一人取り残さない教育」の実現を基本に、幼稚園から小中学校まで、子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に伸ばす取り組みを進めています。
2017年度から、体罰防止研修として教員のためのアンガーマネジメント研修を継続的に実施。初年度は全教員が受講し、その後も初任者や港区へ異動した教員を中心に、毎年研修を続けてきました。
「教育現場では、教職員の対応のあり方が、子どもたちの安全・安心に直結します」
港区教育委員会学校教育部長の茂木英雄氏は、そう語ります。研修を担当する指導主事の加藤靖規氏とともに、アンガーマネジメントの取り組みについて聞きました。
茂木:港区教育委員会では、「誰一人取り残さない教育」の実現を基本に、幼稚園から小中学校まで、幼児教育から義務教育の段階を中心として、子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に伸ばす取り組みを進めています。
学校教育部では、区立学校の教育内容の充実や、教員の資質向上、児童生徒等の安全・安心の確保に加えて、多様な教育ニーズへの対応など、学校現場を支える施策全般を所管しています。
近年は、ICTの活用や個別最適な学び、児童生徒への適切な関わり方の質の向上にも重点を置き、研修にも力を入れています。

茂木:導入の背景には、体罰の根絶に向けた取り組みを、より実効性のあるものにしていく必要があるという課題認識がありました。
加藤:当時は東京都をはじめ、全国的にも教員の不適切な指導や体罰が注目された時期で、そういった時事的な背景も大きかったと思います。
茂木:教育現場では、教職員の対応のあり方が、子どもたちの安全・安心に直結します。従来から体罰防止に関する周知や指導は行っていましたが、指導の現場では、瞬間的な感情の高ぶりが行動に影響する部分もあります。
体罰がいけないと知識として分かっているだけでは、十分ではないのではと感じるところがありました。
そこで、自らの感情を適切に理解し、コントロールする力を教職員が身につけることが、幼児・児童・生徒へのより適切な関わりにつながると考え、アンガーマネジメントの考え方を取り入れた研修を導入しました。
この研修は、単なる体罰防止にとどまらず、幼児・児童・生徒一人ひとりの個性や事情を尊重した指導の実現につなげていくものと位置づけています。
加藤:研修では、まず怒りの感情の機能や役割について理解し、怒りにもいくつか種類があることや、自分の怒りやすさ、どのようなところで怒りの感情が生まれるのかといった自己分析、対処方法などを学びます。怒りと自分に対する理解を深めることができるプログラムの内容で実施しています。
現在は、新規採用の教員や港区に初めて異動してきた教員がしています。教員は東京都で採用され、さまざまな自治体を異動します。港区に初めて異動してきた先生方にも受講してもらえるように、各学校に申込書を出してもらっています。
初任者がいない学校からも、必ず複数名に申し込んでいただくようにしていますので、その年度にアンガーマネジメント研修を受けた教員が一人もいない、という幼稚園や学校はありません。
加藤:体罰防止の研修会は、2014年度から実施していますが、現在の研修内容となるアンガーマネジメント協会に講師をお願いしたのは2017年度でした。
初年度は、経験やキャリアに関係なく、初任者も含めて全ての教員を対象に、3日間に分けて研修を実施しました。3日間で約700人が参加しています。
最初に全員が受講しましたので、それ以降は、初任者や港区へ異動してきた教員を主な対象としています。今年度は約80人でしたが、毎年80人前後が参加しています。
延べ人数では、約1,500人になると思います。複数回受講している教員もいるかもしれませんので、実人数とは異なりますが、ほとんどの教員が受講していると思います。何年か前に受講した教員が、もう一度受けたいと参加することもありますね。

加藤:今年の受講者からは、「自分の感情の動きを客観的に捉えていきたいと思った」「指導の際に一呼吸を置いて考える習慣をつけていきたい」「日々の生活指導や授業を行う際に使えそうな考え方をたくさん教えてもらった」といった感想が多く寄せられました。
また研修は、教育現場での事故防止という観点もふまえて、毎年4月の始業式がある週に実施しています。初任者にとっては着任してすぐの時期になりますね。
加藤:教員がアンガーマネジメントを身につけることで、子どもを尊重した、落ち着いた指導が可能になります。教師と子どもの信頼関係が深まっていくという効果もあると認識しています。
アンガーマネジメントは、大人同士の関わりにも有効ですので、子どもも大人も安心できる職場環境、学校の環境の形成につながっているのではないかと思います。
体罰防止研修からスタートしましたが、区としても東京都としても、現在は体罰が少ない状況になってきています。こうした区の取り組みも、非常に大きいのではないかと思います。

加藤:学校現場にも大きな影響があると思います。感情的な指導を抑制するだけでなく、教職員同士の声かけ、支援の意識の向上、相手の立場に立つことなど、研修を通じて学ぶことができますので、不適切な指導やハラスメントの防止にも効果があるのではないかと思っています。
茂木:アンガーマネジメントの取り組みや、教員が感情をコントロールするための研修は、幼児・児童・生徒との信頼関係の構築や、落ち着いた学習環境をつくることに寄与していると思っています。
各自治体には、それぞれの実情があると思いますが、各自治体に合った形で、こうした取り組みの意義が共有され、広がっていくことは望ましいと考えています。
一方で、導入にあたっては、研修の継続性や、組織としてのきちんとした位置づけが重要になります。単発の研修で終わらせない仕組みづくりも必要だと考えています。
茂木:今後も「誰一人取り残さない」という港区の教育ビジョンの実現に向けて、学力面だけではなく、幼児・児童・生徒の安心感や自己肯定感を高められる教育環境の整備を進めていきたいと思っています。
アンガーマネジメントの視点は、教職員が幼児・児童・生徒一人ひとりに丁寧に向き合い、多様性を尊重した関わりを進めていく上で、重要な要素だと考えています。
また、教員と幼児・児童・生徒との関係だけでなく、管理職と教員、教員同士の関係づくりにおいてもアンガーマネジメントは重要だと考えています。日本アンガーマネジメント協会が発表した「感情を扱える社会宣言」にもあるように、感情を理解し、扱える社会という観点から、ハラスメントのない職場環境づくりにも力を入れていきたいと考えています。
今は初任者に研修を実施していますが、今後は継続的に学べる仕組みや、管理職が組織マネジメントに活用できる取り組みなども、さらに工夫していきながら、アンガーマネジメントの考え方を根づかせ、学校全体として感情に任せない指導、安心して学び成長できる環境づくり、ハラスメントのない職場づくりを一層進めていきたいと思っています。