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昨年文科省から発表された小中学校での体罰報告件数は約4千3百件。精神疾患による教員の病気休職者数は約5千3百名にものぼります。(※1) 今日は、中学校教諭だった私の怒りの経験を告白とともに振り返ってみます。

 

◆私、「暴力教師」でした

「校内暴力」という言葉が世間を賑わせていた頃、教育現場に飛び込んだ22歳の私は、忘れ物をしたら頭にゲンコツ、授業中におしゃべりしたら椅子を蹴る、いつも眉間に皺を寄せ、大声で生徒に命令することを「指導」と信じていました。アンガーマネジメント(以下AM)的にいうと「なめられてはいけない。言うことを聞かせるのが力のある教師」という私の「理想像」と、自信のなさや不安とのギャップから来る行動だったのでしょう。思い通りにいかない原因を「生徒が悪い、保護者が悪い」と外に求めてはイライラしていた教師2年目にある事件が起こります。

 

◆怒りの矛先と「べき」が変わる瞬間

ある男子生徒の反抗的な態度にカッとなり平手打ちをした結果、保護者から抗議の電話がきたのです。生徒指導担当の男性教師に付き添ってもらい、玄関先でまず先輩教師が謝罪すると、お父様からの激しい叱責が。ところが覚悟を決めて私が顔をだした途端、お父様の態度が変わったのです。まだ若い女性教師に拍子抜けしたのか、今度は男子生徒に向かって怒り始めました。AMでいうところの「べき」が、「教師は暴力をふるうべきではない」から「男なら女性のビンタくらいでウジウジするな」と変化し、怒りの矛先が私から息子へ向いたのでしょう。

 

◆葛藤する先生へ

怒りによる反射的な行動で失敗を繰り返した私も、実は中学時代に男性教師から殴られた体験をずっと根に持っていました。それなのに、同じような行為をしてしまう。研修で私の体験談をお話しすると、先生方から「怒る」「怒らない」「怒れない」葛藤をよくお聞きします。世間の多くの「教師とはこうあるべき」と向き合っていくために、「しなやか」で「強い」心を育むヒントになればという思いから、書籍(※2)を執筆しました。当時AMに出合っていれば、という私の思いがお役に立てば幸いです。

 

※1 文部科学省発表
「体罰に係る実態把握(第2次報告)の結果について」H25.8
「教職員のメンタルヘルス対策について」H25.3

※2 『子どもと関わる人のためのアンガーマネジメント』 合同出版
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会【監修】  川上陽子+斎藤美華+三浦和美【著】

 

文:川上陽子(本部講師)