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◆コミュニケーションエラー

先日のコラム「メールのイライラをこうして解決!」で、「メールに件名が書かれていない」「差出人が誰だかわからない」など、「メールあるある」が紹介されています。
これらは、それをしている当人たちにとっては「常識」「当たり前」で、普段あまり意識することがありません。けれども、自分と相手とで理解の食い違いがあると怒りにつながることがあります。

仕事でも、似たようなイライラがあるのではないでしょうか。
これは、ある事務所での、先輩の中堅事務員と新人事務員とのやりとりです。

先輩は新人に、会議資料の印刷を何日も前にお願いしたのに、当日になっても資料が届きません。そこで、「今日の会議資料の印刷はどうなった?」と新人に聞いたら「準備万端ですよ!」と得意気な返答。
そして、準備された資料を見て、先輩がブチ切れたのです。

新人は完璧に準備したと思っていたのに、突然怒られて何が何だかわかりません。

 

◆伝える工夫で解決

先輩は、準備が終われば報告してくるだろう、部数や仕様を確認してくるはずという思いがあり、また、準備が進んでいるか心配しつつも新人の段取りに口出しし過ぎないように見守ろうと、会議当日まで我慢して待っていたというのです。

それなのに、新人からの報告はなく、経費節減で白黒印刷が基本なのにカラー印刷された資料をみて、キレてしまったのです。

怒りの正体は、「コアビリーフ(強く信じていること)」です。自分にとって当たり前と思っていることと異なる現実に直面したときに怒りが生じるのです。これは「べき」という言い方で表現できます。

この先輩の「べき」は、「準備が終わったら報告するべき」「印刷する際は部数や仕様を確認するべき」、そして「先輩は口出ししないで見守るべき」などです。
これらは、仕事のうえでは常識で、新人でも当然わかっているだろうと思っていました。

しかし、「言わなくてもわかるだろう」というのは勝手な思い込みです。
不要な怒りに振り回されないために、事前に具体的な指示を出すことも一つの方法です。
会議の参加者と予備を含めて資料は何部必要なのか、印刷はカラーか白黒か、片面か両面か、ホチキス止めかクリップか、など、確認は新人だけの役割とは限りません。
具体的な指示を出し、終わったら確認させて欲しいと伝えることは、依頼する者の役割とも言えます。

就職したばかりのときには確認しながらやっていた仕事も、気がつけばその職場のルールが世の中の常識かのように錯覚してしまうことがあります。
じつは自分にとって「当たり前」になっていることを意識して伝えるのは難しいことです。
イラっとした時が、自分にとっての「当たり前」に気づくチャンスかもしれません。

 

(文:田辺有理子/編集:川嵜昌子