コラム
怒りの対処術を学ぼう 自分の「べき」は他人と必ずしも一緒ではない
以前に、「怒りの対処術を学ぼう 怒りの感情の傾向パターンを見つけよう」で、自分の怒りの傾向やパターンを把握することによって、怒りを感じやすい状況に備えるためのアンガーマネジメント・テクニックをご紹介しました。
◆イライラの原因はなに?
イライラしたときに、怒りを文字化する「アンガーログ」を継続的に記録することで、怒りを具体的に「見える化」できることをお伝えしましたが、怒りを感じた原因は何だったのでしょうか?
誰かが?
何かが?
出来事が?
アンガーログに書いてあるイライラを感じた状況について、何が怒りの原因だったのか考えてみてください。
どれもがあっているようで、ちょっと違う気もする……と感じるかもしれません。
◆私たちを怒らせるものは私たちの中にある!
私たちを怒らせているものの正体は、“べき”という言葉なのです。
「○○するべき」、「○○するべきではない」の“べき”は、自分の願望、希望、欲求を表わし、私たちが怒る原因にもなっている言葉なのです。
日常生活や仕事において、私たちが怒る理由は、自分が信じている“べき”を目の前で裏切られたからです。
子供は親の言うことを聞くべき
子育ては夫婦でするべき
正しい言葉を使用するべき
先輩を敬うべき
時間は守るべき
正直であるべき
私たちはいろいろな“べき”を信じていますが、その信じている“べき”が目の前で裏切られたときにイライラして怒りを感じます。
アンガーログを振り返り、なんらかの“べき”が裏切られたから怒ったのだとすれば、どのような“べき”が裏切られたのでしょうか?
◆“べき”の良し悪し
“べき”の扱いが難しいのは、どのような“べき”でも本人にとっては正解だということです。
誰がどんな“べき”を信じていても自由ですし、“べき”に不正解はありません。
一般的には疑問を抱く“べき”でも、本人がそう思えば、本人にとっては正解となります。ただし、その“べき”を信じることで、日常生活や仕事に支障をきたしたり、イライラしたり、頻繁に怒ることがあるのであれば、その“べき”は見なおしたほうがよいのかもしれません。
◆「べきログ」で自分の“べき”を見える化
「べきログ」は、自分にとっての決まり事や、自分がよく使用する「○○であるべき」を書き出すアンガーマネジメント・テクニックです。自分のこだわりや譲れない価値観を知り、怒りの元となる状況を客観的に把握できます。
◆「べきログ」の効果
家族やカップル、職場の仲間にも「べきログ」を書いてもらうことで、他人の“べき”を知ることができ、自分の“べき”が、独善的な「マイ・ルール」かどうかわかります。
日常生活や仕事をするうえで、お互いの“べき”を知ることは、不毛な怒りを持たずに済み、相手を怒らせてしまう「地雷を踏む」行動の対策になります。
アンガーログ+スケールテクニックとともに継続して記載することで、より深い気づきを得ることができます。