企業研修事例
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セイコーエプソン株式会社

「怒りは高いところから低いところへ」。各階層別にアンガーマネジメント研修を導入し、累計受講者数1.3万人以上!セイコーエプソン株式会社の目指す組織活性化とは

会社名
セイコーエプソン株式会社
タグ
  • コミュニケーション
  • ダイバーシティ
  • 健康経営
  • 人権尊重
  • パワハラ防止

課題/目的

問題となったパワハラの行為者の多くが、再発防止の対策や直す術を知らなかった。
会社としてその対応法を探していた。

研修メニュー

・アンガーマネジメント入門講座
・アンガーマネジメント叱り方入門講座
・アンガーマネジメント診断 等

受講後の変化

・役員層をはじめ、全社で「アンガーマネジメント」「6秒ルール」が共通言語となった。
・当初は任意申し込み型で開催したが、20人定員のところ募集開始1時間以内に満席となる状態が1年以上続く。さらにここ数年は職場単位・部門単位で受講したいというニーズが増え、実践的な応用分野に取り組む社内風土が醸成されてきている。

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セイコーエプソン株式会社について

セイコーエプソン株式会社(以下、セイコーエプソン)は、長期の時間軸で「人が自律的にキャリアを形成し、成長し続ける会社」を目指して人材育成強化を掲げています。

そして公平で働きやすい職場環境の実現に向けてパワーハラスメントの撲滅のため、2015年度より「アンガーマネジメント研修」を導入しました。現在その開催回数は800回以上、累計受講者数は1.3万人を超え、実施数の多さからも反響の高さが伺えます。

その継続年数と圧倒的な受講人数もさることながら、全経営層がアンガーマネジメント診断受検を必須とし、アンガーマネジメント研修を階層別・職場別のほかグループ会社にも実施しており、社全体で健全な職場環境の実現に向けた取り組みを推進しています。
当協会ではその取り組みを讃え、昨年2023年に開催された第1回「アンガーマネジメント経営賞」では、アンガーマネジメント経営賞 大賞をお贈りしました。

アンガーマネジメントを社内研修に導入した人事部 土田英文様に、その取り組みや成果についてお話を伺いました。

 

ハラスメントで処分を受けた社員の今後の対策を模索していた時に、アンガーマネジメントと出会った

貴社は「人材」をかけがえのない経営資源として位置付け、人材開発・教育を実施していらっしゃると伺いました。そこに向けた人材戦略についてお聞かせください。

当社では自由闊達で風通しの良いコミュニケーション環境により関係の質を向上させ、社員と会社が成長し続ける組織風土を目指しています。
そのために掲げているテーマとして「健康経営」と「人権の尊重」があります。

まず「健康経営」については、当社では社員と会社が一体となり「いきいきと楽しく働くことができる職場環境づくり」「こころとからだの健康づくり」に取り組んでいます。2022年から今年2024年までの3年連続で、経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄」に選定されました。

そして「人権の尊重」は、当社は企業活動における人権の尊重は企業が果たすべき重要な責務であると考えています。ハラスメント等の人権侵害事案の未然予防・再発防止に努めています。

「健康経営」も「人権の尊重」も、アンガーマネジメントの理念は欠かせないものと考えています。

さらに当社代表の小川は「社会貢献と従業員の幸せ」を大切にすると明確なメッセージを発信しています。

このように代表をはじめ社として従業員の幸せを目指す風土となっていることが、ここまでアンガーマネジメント研修の開催を継続できたことに繋がっていると思います。

 

アンガーマネジメント研修導入以前の課題と、導入が進んだ背景を教えてください。
また、アンガーマネジメント以外にもコミュニケーションやチームビルディングに関する様々な研修がある中、導入に至った理由をお教えください。

それまでの人事部門の研修導入の形とは異なり、導入のきっかけは個人的なスタートでした。

社内でパワハラに関する問題が発生した時に、会社としては事実確認をしてパワハラ認定して処分するというサイクルはもちろん構築していましたが、そこから行為者本人が自身をどう改善してくのか、その術がありませんでした。

そこに課題を感じていた時に、「アンガーマネジメント」に出会いました。

書籍を読んだ瞬間、パワハラ対策・改善にはこれだと思って、日本アンガーマネジメント協会のイベントに参加しアンガーマネジメントファシリテーター養成講座に飛び込んで資格を取得しました。

※参考情報)
セイコーエプソン株式会社コーポレートサイト「人権の尊重 | サステナビリティ 」ページより「パワーハラスメント防止への取り組み」にて、パワハラ防止研修などの詳細をご覧いただけます。

https://corporate.epson/ja/sustainability/our-people/human-rights.html

 

「怒りは高いところから低いところへ流れる」から、導入時から管理職へのアンガーマネジメント研修をはじめた

今まで行った研修メニューについて教えてください。

はじめはアンガーマネジメントに興味のある人を終業後に募って一緒に学ぶ場を作るところからスタートしながら、並行して役員研修として管理職全員に受講してもらえる計画を立てました。

当初から経営層や管理職へのアンガーマネジメント研修は必須だと思っていました。
なぜなら「怒りは高いところから低いところへ流れる」から。立場の強いものから弱いものへ、怒りは流れていきます。
だから2015年12月に私がAMFT(アンガーマネジメントファシリテーター)の認定を受けてアンガーマネジメント入門講座を開講できるようになってから、すぐに翌月の2016年1月にはこの研修を開講しました。

AMFTの資格を取得してからも、アンガーマネジメント入門講座以外にも自社で開催できる講座やセッションの幅を広げるために、アンガーマネジメントコンサルタントをはじめとした各種資格を取得しました。

怒りの感情との向き合い方や長期的な体質改善のスキルを身に付ける基礎編から、パワーハラスメントにならないコミュニケーションスキルを学ぶ叱り方教室など、経営層への展開を筆頭に、階層別・職場別・自己啓発(任意申し込み型)など、2024年3月度までで805回実施開催し、当社および国内関係会社延べ1.3万人余りが受講しています。
従来の知識としてのパワハラ防止研修に加え、具体的なスキルの習得でパワーハラスメントの撲滅を目指しています。

※各種企業研修の詳細はこちら>
アンガーマネジメントファシリテーター養成講座の詳細はこちら>

 

トップ層からアンガーマネジメント研修を導入していったのですね。
全経営層の方々に受検必須とされているアンガーマネジメント診断を、どのように活用していますか?

2016年から毎年アンガーマネジメント診断を経営層には実施しており、「健康診断」のごとく診断結果のフィードバックを続けております。

そして特に変化があった方や、気になった方などに関しては、個別にフォローをすることで、毎年の循環が良好に継続できることを目指しています。

 

一人ひとりがアンガーマネジメントを日常化し、自力で継続的に変化に対処できるようになるためには、5年や10年は簡単にかかる

アンガーマネジメント研修に対する社員様や、人事ご担当者様の感想をお聞かせください。

研修アンケートの満足度は、5段階で平均4.5ポイントレベルと高得点です。
ただ、受講者にはアンガーマネジメントのような心理トレーニングは新鮮でインパクトがあり、これはある意味当たり前だと思っています。
むしろ本当にその後取り組めているかが大切だと思っています。

 

研修受講後の社員様の変化や反響があれば、お教えください。

当初、各回定員20人で募集したところ、募集開始1時間以内に満席になるような状態が1年以上続いて、反響は大きかったです。
そしてある程度反響が落ち着いた後、コロナ禍で対面での研修開催がままならなくなりオンラインでの開催を実現したところ、再び20名の募集が満席になり続けるという状態が続きました。申し込めなかった社員からクレームも来て、反響の高さに驚きました。

変化といえば「アンガーマネジメント」とか「6秒ルール」のような言葉は、会社の共通言語になったのではないかと思います。

またここ数年は、社内の職場単位・部門単位で受講したいというニーズが増え、解決志向やチームビルディングなど、実践的な応用分野に取り組む傾向もみえます。職場としての必須研修として位置づけて受講を促しているケースもあります。

また、セイコーエプソンのみならず、連結のグループ会社でも階層別研修として位置づけたり、トップも自ら旗を振って受講したりと社外にも拡大しています。

 

アンガーマネジメント研修を2016年1月に導入していただき、今年で9年目を迎えます。長期的に続けてくださった理由や、ご評価いただいている点があればお教えください。

一人ひとりがアンガーマネジメントを日常化し、自力で継続的に変化に対処できるようになるためには、私は最初から5年や10年簡単にかかると思っていました。

ましてや変えてやろうなどという風に息巻いて取り掛かったら、かえって遠回りになると思っています。

任意申し込み型であるオープンコースは、もともと関心のある社員が中心なので、アンガーマネジメントを知るきっかけとしては良かったと思います。ただ、どうしても「参考書を買って安心した」という風に、わかった気になって結局は習慣化しないということはいくらでも起こりうると感じています。

当初から私はこの研修において、「何度でも受講してね」と伝え続けています。

実際に、3回、4回、5回と顔を見せて、やっと表情が変わったというかたもいらっしゃいます。
AMFT養成講座に自ら参加して講師になった人もいます。

自然発生的に、そうやってアンガーマネジメントによって自らを変えることができたという社員が増えてきた時に、やっと効果が出てきたといえるのかなと思います。

もともとはパワーハラスメント撲滅が目的でしたから、その発生状況などが研修成果を計るひとつの指標になるのでしょうけれど、それだけがゴールではないと感じています。

 

貴社内でアンガーマネジメントを活用しながら実現したいと考えていることはありますか?

徐々に職場単位での受講が増えてきています。
これは組織としてメンバーみんなが「こういう職場にしたい」という意識が芽生えてきた証かなと思っています。
これこそが健全なソリューションフォーカスアプローチかなと感じます。

そしてそんな風にベクトルが未来に向かっている中で、今後はもっと職場内でのグループセッションが増えるといいなと思っています。
グループセッションによってその時その時の自身の気づきを得て何でも解決ができ、それをチームに持ち帰って未来に生かしていく、そういう流れを生む仕掛けを作りたいですね。

あと、アンガーマネジメントの熱意や継続する意思を持つ私の後任を、そろそろ見つけなければと思っています。

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アンガーマネジメントプログラムのご案内

企業内におけるアンガーマネジメント研修に関するご案内です。

アンガーマネジメントに関する内容を、企業研修に導入を検討されている方向けに、導入の流れや、実施内容、また現在実施されている研修へのカスタマイズなど、アンガーマネジメントの研修プログラムをご紹介します。

【画像】アンガーマネジメントプログラムのご案内