取材、研修等の
お問い合わせはこちら

ホーム > ブログ > 指導のつもりがパワハラ扱い

ブログ

指導のつもりがパワハラ扱い

2016年06月30日

以前、管理職のお悩みとして紹介した「部下を怒りたいけれども、怒れない」という人がいる一方で、本人にはその認識がないまま、「パワハラ」と見なされてしまった人もいます。

「まさか自分の指導をパワハラと言われるとは思ってもみなかった」というのは、40代の管理職の男性、Aさん。

Aさんは言います。
「普通に叱っただけですよ。うちは営業の部門ですから数字を上げなきゃいけない。それで、数字が上がっていない部下に、要は『ちゃんとやれ』と言っただけです」

部下に発破をかける意味で、毎日、叱咤激励したとのことですが、部下は会社にパワハラを受けていると相談し、Aさんは、厳しく注意を受けたと言います。

 

◆上司と部下の「べき」の違い

職場のパワハラの定義は、厚生労働省によると「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」となっています。

Aさんにとっては、「業務」として「指導」したつもりが、部下にとっては「業務の適正な範囲を超え」た「精神的苦痛」だったのです。

Aさんは、部下指導に関して「きちんとやってもらうために、ビシッと言うべき」「毎日、叱咤激励すべき」という考えをもっていました。
「これまで、感謝はされても、問題になることはありませんでした」と言います。

しかしながら、今回の部下は会社に「Aさんは、何をどうしたらよいのか教えてくれず、毎日、ただ怒鳴られた」と言ったそうです。

部下は「指導なら、何をどうしたらよいのか具体的に教えるべき」「激励なら、元気が出る言葉をかけるべき」と思っていたため、Aさんから「指導された」「激励された」と受け取らず、「強く怒られ、落ち込ませられた」という思いだったようです。

指導、激励に関する「べき」が、Aさんと部下では違っていたのです。

さらに、Aさんは「どうしたらよいのかは、営業担当者が自分の経験からつかむべき」という考えももっていました。「意地悪や職務怠慢ではなく、そうしないと、本当の力が身につかない」という考えでした。

 

◆怒っても伝わらないことも

「こうあるべき」、すなわち「これが当然」「常識」「理想」という価値観は、一人ひとり違います。
そして、それぞれの人にとって、自分の「べき」は重要です。
Aさんにとって、Aさんの「べき」が重要であるように、部下にとっても、部下の「べき」は重要です。

今回のケースは、Aさんが、
1)人によって「べき」は違うことと、
2)相手の「べき」は相手にとって重要なこと
を理解していなかったために起きてしまったと言えるでしょう。

Aさんが怒ったのは、Aさんにとっては、部下への「指導」「激励」でしたが、部下にはそれが伝わりませんでした。
Aさんの目的である、部下の営業成績を上げることに、これまではつながったのかもしれませんが、今回はそうではありませんでした。

管理職は、怒ることによって伝わることもあれば、伝わりにくくなることもあることを理解し、どうしたら伝わるかを考える必要があるでしょう。

 

(文・編集:川嵜昌子