コラム
実践はもちろん感情表現のトレーニングにも『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』
『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』戸田久実著 かんき出版(2015)
人が表情としてあらわす4つの感情である「喜怒哀楽」。人はその時々で、喜んだり、笑ったり、怒ったり、何かに夢中になって楽しんだり、ときには涙したり・・・。
この4つの感情は、誰でも多かれ少なかれ持っている自然な感情で、それぞれに優劣や良し悪しはありません。しかし、「怒りの感情」は4つの感情のうち、とりわけ扱いが難しいことがあります。
怒りは他の感情に比べると強いエネルギーを持っているため、その感情に振り回されてしまいがちです。つい怒りにまかせて言動や行動をとって後悔したり、心がかき乱される想いをしたりすることはありませんか?
◆怒りの感情をうまく伝えられないとお悩みの方へ
1.怒りの感情をうまく伝えられない
2.イライラすることが多くて、どうしたらいいかわからない
3.「怒ってはいけないものだ」と思っている
4.部下への注意の仕方、叱り方に悩んでいる
5.言いたいことを言えずにおわってしまうことが多い
6.つい感情的になって後悔する
7.家族や身近なひとに対してきつくあたってしまう など
あてはまるものがあって、「どうにかしたい」と思っておられる方に参考にしていただきたい書籍が、『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』です。
著者の戸田久実は、当協会の理事であり、とくに人間関係の悩みがなくなる「言葉がけ」に特化したコミュニケーション指導に定評があります。
本書は、「怒り」の感情を理解することから始まります。
次に、「怒らない伝え方」を10項目のポイントとして解説しています。「怒り」の感情を無理に抑えこまず、しっかりと向き合って、言葉や態度にも気をつけるようにすれば、仕事やプライベートでの人間関係に変化が現われ、自分自身が好きになれるでしょう。
◆怒りの裏に潜む感情を上手に言葉にする方法
怒りは「二次感情」ともいわれています。
つまり、突然降って湧くものではなく、本来わかってほしい感情である「一次感情」が潜んでいます。
「悲しい」「つらい」「寂しい」「悔しい」「不安」「困惑」「苦しい」「疲れた」・・・といった気持ちが蓄積して、「こうあってほしい」「こうあるべきだ」という期待や理想が裏切られたときに怒りの感情として表出させてしまいます。
本書では、その一次感情と向き合う思考のポイントと相手に伝わる言い方、仕事やプライベートでのシーン別の伝え方と、実践的な対処法が書かれています。
私が初めて本書を読んだ時に、「あのときこうすればよかったのか」と思うことがたくさんありました。同じ後悔を繰り返さないように、読み返しています。
ご自身で実践していただくのはもちろん、職場や友人とロールプレイしてみることで感情表現のトレーニングができる書籍です。読書の秋にいかがでしょうか。