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私が子どもだった頃・・・「そうか、そうか」と心に寄り添ってくれた祖父母に何度救われたことでしょう。上手く感情を伝えられなかった私にとってどれほど安心したか。
アンガーマネジメントを学んで思ったことがあります。上手に感情のコントロールができることの他に、心に寄り添えたら、怒りの火は消し止められるに違いない・・・と。

アンガーマネジメントを伝える立場として登壇する講座・勉強会の中で、幼少の頃に親御さんからの怒りをぶつけられた経験を話してくださる受講者も少なくはありません。

今回は「心の寄り添い」について、お話ししたいと思います。

 

◆怒りは第二次感情という驚き

今でこそ変わりましたが、私の母は大変怒りっぽい人でした。朝から晩まで怒っていたし、一度怒ると止まらない。おまけに前のことまで持ち出して怒る人でした。いつも怒っているので、私は言いたいことが言えない、言っても聞いてくれない…。「今日は、お母さん機嫌が良いかなぁ、どうかなぁ」と顔色を伺う毎日。
でも子どもは親のことが大好きなんです。嫌われないように、親の気を引くように頑張ります。けれども報われない。親は親で怒鳴り散らして後悔し、罪悪感を抱いているのに、また怒るという繰り返し。皆さんの中にもそんな経験をされた人はいませんか?

 

私がアンガーマネジメントを学ぶ中で「なるほど!」と思ったのは、“怒りは第二次感情”だということ。私は応用心理士でもあるので、感情について学んではいました。けれども“怒りは第二次感情”という概念に触れるのは初めてで、ある意味、衝撃でした。

一人一人に心のコップがあるとイメージしたときに、毎日朝から、「つらい」「苦しい」「悲しい」「寂しい」などのいわゆるマイナス感情(第一次感情)がコップの中に溜まっていきます。それが溢れると怒りになる・・・言い換えれば、怒りの裏には本当の気持ちが隠れているということです。
私も子どもの頃、ずいぶんと理不尽な怒りをぶつけられてきましたが、その頃の自分や母の心のコップの中には何が入っていたのか、今では想像ができます。

怒りの裏にある感情に気づくことができると、心の中にあるずっとガマンしてきた感情の“しこり”や“わだかまり”が小さくなったり消えたりすることがあります。感情が作り出すものは大きいのです。

 

◆罪を憎んで人を憎まず

もちろん、暴言や怒りに任せた仕打ち(言動・行動)は許されることではありません。しかし、だからといって、相手に対して「この世から消えてしまえ!」と言う権利は誰にもないのです。「罪を憎んで人を憎まず」です。

家族なら尚更。特に親子関係。どんな親子であっても血の繋がりを断つことはできません。「あんな親、絶対に許さない!」「親子の縁を切る!」と思うこともあるでしょう。身内になればなるほど、その怒りは相当なもの。

怒りが成長すると「恨み」になります。恨みの目的は復讐です。私達はそんなことのために生まれてきたわけではありません。

 

◆第一次感情の心に寄り添う

これからは怒りの裏にある感情・・・自分や相手の心のコップの中にある第一次感情に寄り添ってみることを始めてみませんか?

わかってもらえない“寂しさ”?
認めてもらえない“不安”?
ガマンしている“つらさ”?
言ってもムダという“あきらめ”?
期待通りにいかない“がっかり感”?

怒りの裏にある感情に気がつくと、怒りにならずに済むことがあります。

ここで私が敢えて“共感”ではなく「心に寄り添う」という言葉を使ったのには理由があります。真の意味での共感というのは、相手が「あぁ、この人わかってくれたなぁ」と思った時に初めて成り立つものだと思うからです。こちら側がいくら共感しているといっても、実は独りよがりであることも多いのです。

1分でも3分でも5分でも(できれば時間を決めたほうが心理的負担は小さくて済みます)、自分や相手の怒りの裏にある第一次感情に寄り添うことができたなら、怒りの火はだんだん小さくなっていくことでしょう。

アンガーマネジメントは感情理解教育の一環としても知られるようになってきました。アンガーマネジメント入門講座応用講座の他、更にアンガーマネジメントキッズインストラクター養成講座などでもアンガーマネジメントを学ぶことができるのですが、内容の奥深さに驚きと感動で唸られる受講者の方も多く見かけます。

心に寄り添う人が家族や身近な人の中で増えれば、怒りが怒りを生むことは無くなると私は信じています。より良い家族関係、教育現場・職場内での人間関係の再構築やクレーム対応などの参考になればと思います。

 

あなたの心に寄り添ってくれる人は誰ですか?
あなたは誰の心に寄り添っていますか?

 

文:長縄史子(アンガーマネジメントトレーニングプロフェッショナル)