コラム
フィジーのDV問題
南国フィジーといえば綺麗な海の楽園といったイメージですが、実は家庭内暴力がかなり深刻な社会問題となっています。フィジーでは従来の家父長制に基づく慣習が依然として残っており、社会における意思決定や土地等の財産相続において女性の立場は男性より弱く(参照:平成21年国別ジェンダー情報整備調査フィジー国)、1995 年に国は女子差別撤廃条約に批准したものの、女性の経済活動環境や社会的地位はまだ多くの改善の余地があります。今回はフィジーの新聞記事から、地域ベースの家庭内暴力を根絶させるための運動を紹介している記事をお伝えします。
今回DV撲滅運動に取り組み始めたのは、西海岸の7つの村。この運動は家庭内暴力の対策として2003年に改訂された家族法に基づいており、女性への暴力をゼロにするため様々なキャンペーンを展開しています。
特に重要視されているのが、男性に対するアンガーマネジメント講習です。男性に怒りをコントロールする方法を教え、女性はどのように扱われるべきなのか、徹底的に男性のマインドを変えます。最初は4つの村からスタートした運動ですが、男性からも好評で参加する村の数は増えているそうです。
医者としてこの運動に参加しているルーベニさんは「村では家庭内暴力が当たり前のように存在しまが、これは今すぐストップするべきです。女性も男性と同じ様に尊厳を持って扱われるべきだし、その権利があるからです」と語っています。
ジェンダー間の差別は以前と比べれば改善しつつあるようですが、伝統的な慣習は依然残っており、女性への差別は未だに村落部で顕著だそうです。
伝統的価値観を変えるのは難しいことですが、DVは許されるべきではありません。DVに苦しむ女性の数が、文字通り「ゼロ」になる日が早く来る事を願います。
(英文記事URL)
http://www.fijitimes.com/story.aspx?id=187820