コラム
お雑煮について意外に強い「こうあるべき」
日本国内でお正月を過ごされた方の多くは、お雑煮を食べたのではないでしょうか。
お雑煮に入っているお餅は、昔から日本人にとってお祝い事や特別の日に食べる「ハレ」の食べ物でした。沖縄を除く日本各地でお雑煮を食べる風習があり、お餅の形やお出汁、調味料や具材など地域や家庭によってさまざまです。
◆実家のお雑煮の話で
仕事始めに、仕事関係の人たちと実家や親戚、旅行で食べたことのあるお雑煮の話をしていたら、自分たちが食べているお雑煮が他府県のお雑煮とかなり違っていることに驚きました。
・お餅の形は丸餅? 角餅?
・お餅に火を入れるのは焼く? ゆでる?
・お出汁はなにでとる?鰹節? 昆布?
・調味料は白味噌? おしょうゆ?
・具はなにが入っているの? 大根、人参…
など、お互いに質問しはじめると
・お餅は丸餅であんこが入っています
・お餅は丸餅でお雑煮から取り出して、甘いきなこにつけながら食べます
・お餅に火を入れるのはお出汁にそのまま入れます
・あごでお出汁をとります
・白味噌仕立てで鰹節をまぶします
・おしょうゆでおすまし仕立てです
・なるとが入っています
・焼いたあなごが入っています
・いくらを入れます
など、さまざまなお雑煮の話で盛り上がりました。
◆お雑煮にまつわる意見の相違
自分が子供の頃から食べてきたお雑煮とは違うお雑煮の特徴が話題にあがるにつれ、
「へぇー!そうなんだ!」が
「えっ? なんで? そんなの入れないよ」
「えっ? そんなこと聞いたことない」
「えっ? それは無理!」
に変わりはじめました。
本人が
「絶対おいしいですよ! 普通ですって!」
といっても、
「私は食べたくない!」
と言い張る人もいました。
◆アンガーマネジメント的に考えると
子供の頃から慣れ親しんだお雑煮は、地域の特徴だけではなく、その伝承は母親であることが多く、つまりは家庭の味でもあります。
聞いたことがない、見たことがない、食べたことがないお雑煮の存在を知った時に、次の(1)から(3)のどれが頭に浮かんだかで、その人の反応が違っていました。
(1)それはおいしそう! 食べてみたい!
(2)自分が知っているお雑煮とはちょっと違うけどそういうお雑煮もあるのだ!
(3)お雑煮にその食材はいれないよ! 無理!
この(1)~(3)は、じつは、アンガーマネジメントで「三重丸」と呼んでいるものです。
「こうあるべき」という価値観が、三重丸の内側の丸から(1)自分と同じ、(2)違うが受け入れられる、(3)受け入れられない、となっています。(1)(2)を拡げることにより、怒りにくく、怒られ強くなります。
お雑煮は、一年の無事をお祈りする意味もありますし、家庭の味でもあります。それを否定されたらどんな気持ちになるでしょうか?
(2)のちょっと違うが、そういうもの(考え)もあるのだと受け止めることができれば、つまり許容範囲を広げることができれば、たとえ悪意はなかったにしても人の大切なものや想いを否定してしまうことは減っていきます。そうすれば、良好なコミュニケーションがとれるように変化していくでしょう。
※もっと詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
●お雑煮について
1.畑江敬子ほか 日本調理科学会誌 Vol.36 No,3 2003 正月の雑煮の食べ方に関する実態調査
2.名倉秀子ほか 日本調理科学会誌 Vol.36 No,3 2003 実態調査による雑煮の地域的な特徴
●アンガーマネジメントの「三重丸」ついて
「アンガーマネジメント入門講座」で詳しく説明しています。ご受講をご検討ください。
開催情報はこちらから検索していただけます。
http://www.angermanagement.co.jp/seminar/introduction/