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コラム - アンガーマネジメント
アラカン世代の試験勉強とアンガーマネジメント
こんにちは。協会ブログチームメンバーの梶田多恵子です。
最近、職場における学び、学び直しの促進で「リスキリング」という言葉をよく耳にするようになりました。
“デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速化など、企業・労働者を取り巻く環境が急速かつ広範に変化するとともに、労働者の職業人生の長期化も同時に進行する中で、労働者の学び・学び直し(リスキリング、リカレント学習)の必要性が益々高まっている。”
(引用:職場における学び・学び直し促進ガイドライン|厚生労働省 (mhlw.go.jp)P2,Ⅰ)
ネットで検索すると、50代から60代、いわゆるアラフィフ、アラカン世代にむけて「セカンドキャリア」のためにはリスキリングが必要という記事が多くみられます。
私自身、アラカン世代という事もあって、セカンドキャリアについて他人ごとではなくなってきました。今回は、アンガーマネジメント的視点でこの問題について考えてみたいと思います。
スキルアップのため資格試験受験を決意したものの…
私は介護福祉士として、普段は認知症の方のケアを仕事としています。介護業界ではスキルアップのために多くの研修や資格試験が設けられています。業界の特性として60代を過ぎても現場で勤務されている職員の方が多いのですが、私は「60歳を過ぎたら現場での勤務は引退しよう」と前々から考えていました。じゃあ、そこからの仕事はどうしよう…とも悩んでいました。そこで、スキルアップのために以前挑戦した介護支援専門員(ケアマネージャー)試験に再チャレンジしようと決意しました。
働きながら勉強することの難しさ
一大決心して今回再受験する事に決めました!ですが、この試験は合格率20%前後という超難関試験なのです。合格基準は介護支援分野・保健医療福祉サービス分野ごとに正答率70%以上です。たとえ一方の分野で満点を取ったとしても、もう一方の分野が合格基準を下回っていれば不合格となります。しかも出題範囲は広範囲で、専門用語が多く出てきます。実は数年前に一度受験したのですが、この時は不合格でした。テキストを購入し、とにかくページを開いてみたものの、前回同様、一体何のことについて説明してあるのかさっぱり理解できず、頭の中は混乱するばかりです。仕事の合間を縫っての勉強時間もなかなか確保できず、過去問題にチャレンジしては間違いだらけです。覚えなければいけないことが多いのに覚えられないまま、時間は過ぎていってしまいます。気持ちばかりが焦って「ああ、また今回も落ちてしまうのか…なんでこんなに覚えられないんだろう!合格なんて無理!!」と自分に対してイライラする日々が続き、次第にテキストを開くこともなくなっていきました。気持ちを立て直したのが、試験まで約2か月前となった7月下旬の事でした。
アンガーマネジメント的視点で勉強の仕方を見直した
イライラしてばかりでは、どんどん時間が過ぎていくばかりです。せめて自分が納得いくまでやるだけの事はやって、仮に不合格でも後悔のないようにしよう…。そこでアンガーマネジメント的視点から改めて自分の勉強法を見直してみました。まず、ミラクルデイエクササイズ※1を試してみました。合格発表日をミラクルな日=合格したと設定して、どこにいるか?その時の気持ちは?…など具体的に書き出してみました。次に変化ログ※2で「試験に合格するため今から自分が具体的に出来る事」を書き出してみました。
試験対策が具体的になるとイライラせずに取り組みやすい
「試験勉強に集中できる環境を作りたい」そのためには「夜もしくは朝、最低1時間はテキストを開いてキーワードを書き出す」「試験問題解説の動画を最低1単元分はテキストを開きながら視聴する」「過去問題を毎日最低10問は解く。間違っていた問題はチェックして再度解く」そして「今の自分の仕事に関連付けて問題を考えて確実に解けそうな問題から取り組む」「模擬試験を受けて自分の理解できてないところを確認する」といった具合に、具体的な試験対策が自分の中で見えてき始めました。そして、サクセスログ※3で「今日は過去問題10問中5問正答できた」といったように少しでも出来ていることを書いていきました。すると、試験勉強すること自体がだんだん楽しくなってき始めたのです。過去問題も間違える回数も少し減ってきたように思います。それまでは「試験まであと2ヶ月と少ししかない!どうすればいいんだろう!」とイライラしてばかりいたのですが「試験まであと2ヶ月と少しあるのだからそれまでにポイントを整理して、とにかく問題に慣れていこう。傾向もつかむようにしよう」と前向きに取り組めるようになりました。
※1ミラクルデイエクササイズ…問題が解決した「奇跡の日」について考えることでゴール設定を行うテクニック。
※2 変化ログ…ミラクルデイエクササイズで描いた理想と現実のギャップを埋めるために、自分が作りたいと思う変化と具体的な行動を考えるテクニック。
※3 サクセスログ…出来ていることを書き込むことで、少しでも出来ている自分に自信を持つことが出来るテクニック。怒りの原因となるマイナスな感情を持ちにくくする。
「アンガーマネジメントの学び直し」にもなった試験勉強
今回の試験勉強を通して、私には「何が何でも試験に合格するべき」「合格して現場を引退するべき」「だから私は絶対不合格になるべきではない」といったいろんな「~べき」があったことにも気が付きました。自分の「~べき」が裏切られたらどうしよう(試験に落ちたらどうしよう)という不安感が強すぎて、合格するための具体策を立てる前にイライラしてしまったのです。アンガーマネジメントでは「不安感はイライラを増長させる」と考えています。この気付きも私には大きなものでした。まさに試験勉強を通じてアンガーマネジメントを学び直すことになりました。10月の試験まであと2ヶ月と少しです。また心が折れそうになることもあるとは思いますが、アラカン世代の学びへのチャレンジを続けていこうと思います。
講座情報はコチラ:
https://www.angermanagement.co.jp/seminar
現在、日本アンガーマネジメント協会ではオンライン講座も開催しています。