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先日、とある事務所を訪ねたときの話です。
突然、怒鳴り声とともに机をバンッと叩きつけた音が響き渡りました。一瞬にして、フロア全体が静まり返り、緊張が走りました。
カウンターの奥に事務机が並んでいて、一番奥がその部署の管理者の机のようです。その机の脇に事務員の女性が立っていて、その女性に対して管理者が怒鳴ったという構図は、部外者の私からもすぐに理解できました。

お客さんのクレームなどでなく、事務所内の上司の怒鳴り声でしたから、ほかのお客さんも驚いた様子で、カウンター越しに対応してくださっていた事務員さんは、バツが悪そうに「申し訳ございません」と、謝るばかりでした。

◆誤解その1 怒りは「悪」?

怒らないようになれることを期待して、アンガーマネジメントの研修や講座を受講する人がいます。
これは、半分はアタリで、半分はハズレです。アンガーマネジメントの目的は、「怒り」の感情をなくすことではありません。怒りを知り、上手に対処できるようになることが目的です。

「怒り」は、うれしい、楽しい、悲しいなどと同じ、感情の1つです。怒ったことがないというのは、いままでの人生のなかで、うれしかった、楽しかったことが一度もないと言っているようなものです。感情に善し悪しはありませんし、「怒り」を感じてはいけないということはありません。

しかし、喜怒哀楽などの感情のなかで、「怒り」は扱いが厄介な場合があります。うれしい、楽しいという感情は、そのまま表現してもさほど問題にならないのに対して、「怒り」は、表現方法によっては周囲の人々を不快にしてしまいます。仕事などでは信頼を失ってしまうこともあります。

アンガーマネジメントを学び、自分の「怒り」の感情に気づき整理することで、不要な「怒り」を減らすことができます。そして、必要なことに上手にその「怒り」を表現することが大切です。

◆誤解その2 怒るのは未熟な人?

怒るのは未熟なことだと思っている人も少なくないようです。怒るのは未熟なことか、これも、半分はアタリで、半分はハズレです。
怒ってばかりでは困りますが、必要なときには、上手に怒ることが求められます。

先ほどの事務所で怒鳴ってしまった管理者の方も、事務員さんが何かミスをしていたとしたら、指導しなくてはならないでしょう。しかし。勢いで怒鳴ってしまって場の空気を悪くしたことに後悔したかもしれません。

また、仕事で人材育成をする立場になって、怒れない、注意できない、叱れないといった悩みを抱える人も増えているようです。

アンガーマネジメントは、怒ることと怒らなくてもよいことを見極めて、不要な怒りに振り回されないこと、そして、必要なときには上手に怒ることができるようになるためのトレーニングです。

自分の感情と上手に付き合い、上手に表現できるようになると、仕事の効率も上がり、周囲との人間関係も円滑になりますよ。

(文:田辺有理子/編集:川嵜昌子