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災害救援のストレスケアとアンガーマネジメント

2016年04月26日

◆災害救援者のストレスケアの重要性

熊本県および大分県を震源とする地震により、被災された皆さま、ご家族、関係者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。

災害における救援活動は非常に重要性が高いものです。その一方で、被災地での心的ストレスは、被災した住民や傷病者のみならず、救助者にも生じるとされています。大惨事において、本来の適応能力では対処しきれないストレスを、「惨事ストレス」と表現することもあります。救助者は、救助した傷病者の予後がたとえ良好な場合であっても、強い心的ストレスが発生するという報告があります(※1)。

そこで今回は、「救助者およびボランティア参加者のストレスケア」をテーマとしました。

 

◆救援者に起こり得るストレス反応

気持ちの変化 気分の昂ぶり、イライラ、怒り、不安、憂うつ、無力感、自責感
強いストレス反応 現実感がなくなる、繰り返し思い出す、感情の麻痺、他人と関わりたくない
体の変化 悪夢、不眠、食欲低下、音に過剰に驚く
行動の変化 仕事への支障、飲酒量、喫煙量の増加

救援者は、上記の表のようなストレス反応を示すことがあるといわれています(※2)

 

◆怒りの感情とは

気持ちの変化の項目にある「怒り」の感情は、突然降って湧いてくるものではありません。心の中にさまざまな感情を貯めるコップがあると想像してください。そのコップの中に「不安、つらい、苦しい、痛い、嫌だ、疲れた、寂しい、虚しい、悲しい」など、ネガティブな感情がどんどんと溜まっていき、溢れだした時に「怒り」の感情がでてきます。

 

◆どうしてイライラするの?

以前に、「怒りの対処法を学ぼう 自分の『べき』は他人と必ずしも一緒ではない」で、なぜ私たちはイライラするのか、イライラする正体についてご紹介しました。
私たちは、自分が「○○するべき」「○○するべきではない」と思っていることと、現実のギャップが生じたときに、怒りを感じるのです。その怒りを自分に向けてしまうことで自責感が強まっていきます。

 

◆アンガーマネジメント的救援者へのサポート

救援者自身がセルフケアをすることで惨事ストレスを軽減できればよいのですが、本人が気づかないうちに強いストレス状態に陥っているかもしれません。
惨事ストレスは、十分な休息と、気心がしれた仲間や家族と過ごすなかで、時間の経過とともに軽快、消失する場合が多いといわれています。
救援者が日常生活に戻ったときに、話を聞き寄り添うことでストレスケアをサポートしていきたいものです。

そのときに、「○○するべき」という持論を救援者にぶつけるのではなく、救援者が経験し、感じてきたことを受け止める心の余裕をもって取り組み、私たちも平時から災害に備える必要があるのではないでしょうか。

 

参考文献
※1 「動ける!救急・災害ガイドブック」(平出敦、田口博一、窪田愛恵/編、羊土社、2016年)
※2 「災害救援者の心の守り方」茂村淳著(メディカ出版、2011年)

 

(文:髙橋直子/編集:川嵜昌子