最近「スライサー」という言葉を耳にすることはありませんか。
この言葉は、voicyで「学びの引き出しはるラジオ」のパーソナリティ 尾石晴さんが「テイカー程まではいかないけれど薄く、薄く人から時間や好意などを奪う人」を定義づけ命名した言葉です。
「テイカー」というのは、アメリカの心理学者アダム・グランド氏が著書『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』の中で人間の思考と行動を「テイカー・ギバー・マッチャー」の３タイプに分類している中の１つで、自分中心に考え、常に与えるより多くを受け取ろうとする人のことです。
※ギバーは、ギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、相手から受けとる以上に与えようとする人
※マッチャーは、ギブとテイクのバランスを取る人
テイカーは、明らかに他人を搾取していることがわかる行動をとる人です。例えば、誰かが一所懸命やったことを自分の手柄のように見せかけたり、誰かを利用するのが得意であったり、遅刻をして他人の時間を大幅に無駄にしたり、大事なミーティングで脱線したり自分の話ばかりするというような特徴があります。
テイカーにイラッとしたり、腹が立ったりしても、その人がテイカーであると理解しておけば、事前に気を付けることができ、テイカーとは必要以上に関わらないなどの対策が取れます。
ところが、スライサーは、テイカー程までいかないけれども「絶対に自分だけは損をしたくない！」があり、薄く、薄くサラミのように私たちの神経や気持ちを削っていきます。
例えば、お会計の時に毎回「うまく割り勘できないけどどうする？」と聞きながらも、「端数は私出すよ。」とは言わない。仕事で「そろそろ提出物の期日ですよね。やったほうがいいですよね」と言いながら自分でもできることを他の人にやらせようと、親切心を装って巧妙に流れを作る。
自分で調べればわかることなのに、「これってどうでしたっけ？」と誰かに聞き調べさせようとする。
他にも「自分が言いにくいことを他人に言わせる」などの特徴があります。
そのため、イラっとはするけど何が原因なんだろう？とモヤモヤしたり、違和感を抱きながらも解決策や対応策が分からないということに繋がるのではないでしょうか。
このように困ってしまった場合にも、アンガーマネジメントのテクニックが活用できます。
今日は数あるテクニックの中から「べきログ」をご紹介いたします。
「べき」というのは、価値観や願望、期待、欲求。理想を象徴する言葉でそれらが目の前で裏切られたり、現実にならなかった時に私たちは怒りを感じます。
実は、怒りというのは幅の広い感情です。スライサーに抱く違和感というのもこの「べき」が裏切られていることが考えられます。
なぜならスライサーの具体例からは「やったほうが良いと思うなら自ら取り組むべき」「言いにくくても自分の意見は自分で言うべき」「気になることは自分で調べるべき」などがあり、それが現実に裏切られているとも言えるからです。
べきログというのは、自分がよく怒る「べき」を書き出すことで自分の怒りポイントが見つけ出せるもので、怒りを感じた出来事にどのような「べき」「べきではない」と感じたかを書き出します。また、自分の「べき」の重要度も数値化して記録をしていくものです。
私たちは、「まあ、いいかこれくらい」とか「そんなことで目鯨を立てる事ではない。」「自分の器が小さいのかな」と違和感やモヤモヤを放っておくことも多くあります。
その結果として、神経や気持ちが徐々に削られ、心身ともに疲弊することにつながってしまう可能性もあります。
そうならない為にも先ずは「べきログ」をつけて違和感やモヤモヤの正体から探してみませんか？
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