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現代の職場では、多様性の尊重や働き方の変化が求められる一方、ハラスメントの問題も依然として大きな課題となっています。
アンガーマネジメントは、怒りの感情と上手に付き合い、他者を尊重するためにも有効な手法です。
今回は、弊会参事の土田英文氏に、企業におけるアンガーマネジメントの取り組みや、管理職がパワハラを防ぐために必要なスキルについてお話を伺いました。
組織の信頼関係を築き、働きやすい職場をつくるためのヒントが詰まっています。

 

 

 

 

 

 

 

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会参事 土田英文
プロフィール

多様性の重要さとアンガーマネジメントの役割

Q. 普段のお仕事やご活動について教えてください。
情報関連機器メーカーで長年、人材マネジメントに携わってきました。
7年間の中国(北京、上海)駐在を経て、「互いの価値を認め合い、活かせる力」がこれからの社会に必要だと痛感しました。
現在はその経験を活かしながら、日本で引き続き人材マネジメントを担いながら、社内外にアンガーマネジメントを伝えるお手伝いをしています。

20250123_20080815_中国_アパートからの風景_陽.JPG

20250123_20080809_中国_アパートからの風景_陰.JPG

日本に戻り、人材マネジメントに携わる中で、パワハラに関する問題の対処に頭を悩ませていたとお聞きしました。
Q.中国駐在での経験が、アンガーマネジメントにどのように繋がったのでしょうか?
駐在中に「多様性」の重要さを実感しましたが、それを伝えるのは難しいものです。
「海外に赴任してもらうしか手はない」と思っていましたが、アンガーマネジメントに出会い、「これならいける」と直感しました。
アンガーマネジメントは、様々な価値観を認め、それとどう向き合うかということの本質を教えてくれると思っています。

(20250123_20050616_中国_小学校開講.JPG)

 

 

 

 

 

 

アンガーマネジメント研修の導入

土田参事は企業向けにアンガーマネジメント研修を行っておられます。(*)

Q. 企業研修にアンガーマネジメントを導入した際、どのような変化がありましたか?
2016年1月に社内でアンガーマネジメント研修を開始しました。
導入当初は、募集開始直後に募集枠が埋まるほどの人気講座でしたから、「アンガーマネジメントって何?」という意味での浸透は早かったと思います。
そのうち「6秒ルール」という言葉をあちこちで耳にしたり、アンガーマネジメント診断の結果を管理職が部下に共有して組織の心理的安全性が高まった
という声が聞こえてきたり、3年もするとそんなことを感じるようになりました。

Q. アンガーマネジメントの導入効果はいかがですか?
「アンガーマネジメントの導入効果」というピンポイントでの測定はしていませんが、自社の「組織サーベイ」や「360度評価」、「ストレス診断」など、
それぞれの結果を参考に取り組みを続けています。
アンガーマネジメントの定着という意味では道半ばですが、共通言語として浸透していくことはとても大切だと思っています。

Q. アンガーマネジメント診断は現場でどのように活用されていますか?
経営層や管理職層には、「今年もこころの健康診断やりますよ」などと言いながら案内しています。
特に役員をはじめとする経営層には、導入初年度から毎年診断を継続しており、役員によっては9年分の結果があるので、
最近は過去からの推移を一人ひとり分析してフィードバックするようにしています。
また、個人セッションの前後、新任課長向けの階層別研修や海外赴任者の事前研修などでも実施しており、
診断は自己認識の補足ツールとしてフル稼働しています。

(*)企業研修の導入事例に関する詳しい内容はこちら

「怒りは高いところから低いところへ」。各階層別にアンガーマネジメント研修を導入し、累計受講者数1.3万人以上!セイコーエプソン株式会社の目指す組織活性化とは

 

パワハラ防止と管理職に求められるスキル

Q. 職場のパワハラを防ぐために、管理職に求められるスキルは何でしょうか?
管理職には以下のスキルが必要だと考えます。
・自分の中で発生している変化をつかみ
・その変化にどのように対処したらよいのかという術を身につけ
・加えて部下とアサーティブに接するスキルを培っていくことや
・部下の価値観を受け容れつつどのようにチーム作りをしていくかとういう方法
等を磨いていくことが、多様性を尊重する中で求められるスキルだと思います。

日本アンガーマネジメント協会では、「アンガーマネジメント入門講座」、「アンガーマネジメント叱り方入門講座」、
「アンガーマネジメント応用講座」、「アンガーマネジメントパワーハラスメント防止入門講座」等のコンテンツと、
「アンガーマネジメント診断」があり、それらを組み合わせることで、こうしたスキルを体系的に学ぶことができます。

Q. 指導スタイルを変えられない管理職には、どのように対応していますか?
自己認識できない管理職には手を焼きますよね。
まず手始めに取り掛かったのは、パワハラで失敗した管理職に対する「アンガーマネジメント個人セッション」です。
これからの自分の行動をどう変えるのかをアンガーマネジメント的に考える機会を義務付けています。
1~2週間ごと1時間程度の個人セッションを最低8回くらい受けてもらったうえで「行動宣言」にまとめて報告することにしています。
いまはパワーマネジメントの傾向がみられる層にも対象を拡大しています。

(20250123_20240924_県経営者協会での研修風景.heic)

 

 

 

 

 

 

最後に参事としてのご自身のビジョンや目標についてお聞かせください

「アンガーマネジメントをご存じですか?」と尋ねたときに返ってくる反応は、この10年の経過の中でもだいぶ変わりました。認知度の向上を感じます。
そんな今、講座の中でも必ずお伝えしているのは、「何回でも受講してくださいね」ということです。
アンガーマネジメントが分かったような気になっても、私たちは常に変化を続けていますし、取り巻く環境も常に変わります。
だからこそ、「アンガーマネジメント」という「ライフスキル」がどれほど心強いものなのかこれからも多くの方に知っていただきたいと思っています。
そして日本アンガーマネジメント協会が提供するコンテンツだからこそ安心して学ぶことができるし、この協会に所属しているからこそ感じることができる
充実感をお届けできるように、協会を運営できたらうれしいです。

20250123_土田参事.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のインタビューを通して、アンガーマネジメントが「怒りのコントロール」にとどまらず、ハラスメントを防ぎ、
多様な価値観を受け入れるための大切なスキルだと感じました。
感情をうまく扱うことができれば、職場の雰囲気はぐっと穏やかになります。
土田参事の言葉から、ひとりひとりの小さな努力が、ハラスメントのない、笑顔あふれる職場につながるのだと感じました。

今後も様々な環境で活躍されている方にインタビューしていきますのでご期待ください!

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