コラム
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カスタマーハラスメント
コラム - アンガーマネジメント
カスハラから従業員を守るアンガーマネジメント
顧客や取引先から受ける嫌がらせや過度なクレームなどの著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。ニュースなどでも「カスハラ疑いで逮捕」・企業で「カスハラに対する方針」発表など「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉を耳にすることが増えました。
2023年12月には旅館業法改正により、カスタマーハラスメントに当たる特定の要求を行った人の宿泊を拒むことができるようになりました。
また、東京都の動きも注目されています。東京都では、2024年10月に「東京都カスタマーハラスメント防止条例」(カスハラ防止条例)を制定し、2025年4月には施行されます。先月には全国2例目として、北海道議会でもカスハラを防ぐための条例案を定例会で可決するなど、官民ともに対策が迫られています。何故なら、こうした問題を放置すると働く人のパフォーマンスの低下の他、業務上の支障や退職や休職など、マイナスの影響を受けることが考えられるからです。
今回は筆者の実体験から怒りとカスハラについて、取り上げてみたいと思います。
「いらっしゃいませ」が聞こえない
カフェに勤務していたときのことです。来店したお客様から突然「入店したときにいらっしゃいませが聞こえなかった」と激しく怒鳴られるということがありました。直ぐに謝罪をしましたが、それでも怒りが収まらない様子で…。威圧的な態度で「謝れ!」「あいさつをやりなおせ!」「お前なんかやめちまえ!」など長時間に渡って次々と酷い言葉を言われました。当時はカスハラに対する対策マニュアルが無かったこともあり、同僚もどのようにサポートしたら良いのか対応に困っていました。また、お客様の中には状況に驚き、退店される方も。
私への連絡がなかった
就労支援をする業務をしていたときのことです。私は就職のサポートをする業務でAさんに関わっていました。企業への就職は叶ったのですが、その後ご本人のご事情から就業開始から1年で退職されることになりました。退職が決まってから数日後、突然Aさんの姉から事業所に電話が入り、「退職するなんて知らなかった、姉である私に情報共有されないなんて不当なサービスだ」と1時間以上、話を聞くことになりました。しかもそのお電話は数日間にわたりかかってくることに。内容も段々と、サポート側の能力の否定や「訴える」などとエスカレート。しかしAさん本人が決めたことで、退職理由はご本人の体調によるものでした。ご本人から情報共有を求められたことはなく、連絡先も知らない中での出来事でした。
今思えば、カスハラにあたるかも
カスタマーハラスメントという言葉自体は2010年年代頃から悪質なクレーマーに対して、その名称を用いる動きがあったと言われています。筆者の体験として挙げたものはいずれも5年、10年前のこと。カスハラという言葉を知っていたかも定かではありませんが、当時「アンガーマネジメントを知らなかったら精神的な負担は大きかった」と感じたことは覚えています。
カスハラとアンガーマネジメント
日本アンガーマネジメント協会では、カスハラをはじめとして、企業のハラスメント防止への取り組みとしてアンガーマネジメントが有効であるとお伝えしています。今回注目したカスハラは筆者の実体験の通り、お客様側の「怒り」が大きく関わっていることからも、怒りについての知識を得ることはとても大切な取り組みだと言えます。
知っててよかった、アンガーマネジメント
当時の体験では「カスハラ」という言葉が浮かばなかったけれども、「アンガーマネジメント」は学んでいました。怒りという感情についての知識はあったことや、アンガーマネジメントのトレーニングをしていたことで、相手の感情に飲み込まれずに対処できたと思っています。
激しく怒っている相手を目の前にすると萎縮してしまい、ただただ謝るだけ、といったことも多いに起こり得ることです。
筆者のいずれの体験も、「今目の前にいらっしゃるお客様が訴えたいのはどんなことだろう?」「謝罪するにしても、何を伝えたらいいのかな?」と冷静さを保ちながら考えることができました。
カスハラ対策としてのアンガーマネジメントは、実際にお客様対応にどうアンガーマネジメントの考え方を生かしていくかという視点もあります。加えて、現場でそのお客様に対応するスタッフを守るための知識としても役立ちます。怒りに対する知識を得ることは、お客様対応に生かすということだけでなく、スタッフの心を守ることにもつながるということを今になって改めて実感しています
ハラスメント対策としてのアンガーマネジメント。ぜひこちらのページもご参考になさってください。
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